コスト削減

会社のコスト削減の歴史と傾向

コストの歴史のイメージ

世の中の会社はどんな風にコスト削減を行ってきて、今のメインテーマは何なのか

調達改革を専門としている人間でも、この問いにパッと答えられる人は少ないし、そもそも考えたこともない人が大半ではないか

大企業が歩んできたコスト削減の歴史について振り返った上で、今何が論点となっているのかを話したい

中小企業の場合、基本的に大企業の歩みから1~2ステージ分ビハインドしていると考える

複数のステージに同時並行で対処するケースが圧倒的に多いため、時代毎のメインテーマとして考えてもらったらいい

例えば、間接材コスト削減はテーマとして旬の時期は過ぎていると考えるが、今でも多くの大企業が改善に取り組んでいるテーマだ

~1990年代:ユーザーマネジメント

使っていない電気を消す、用紙の裏側を使う

こんな風に、会社が自主的にわかりやすいコスト削減を行っていた時代だ

“勿体ない”という観点に基づき、従業員が快適さや利便性を我慢することでコストを少しでも削る

ユーザーの業務改革でコストを削減する動きともいえる

そんな時代だったと言えるだろう

~2005年あたり:直接材コスト削減

1990年代以降、日本企業はサプライヤーと交渉すれば、コストは下げられることを知る

法人においても、外部からの仕入れコストを値引きできるのは意外だった。そしてこの効果は非常に大きい

自分達が頑張ることなく、発注の仕方を工夫してサプライヤーにお願いすれば、より安く商品やサービスを購買できてしまうのだから

削減した分は、そのまま売上原価の縮小につながる

こうして、勘定科目ベースで見た時に、コストの大部分を占める原材料や資材の削減活動が始まる

当然この動きは今でも続いており、大企業の場合は調達本部が全社分を纏めてガシガシ交渉するか、各事業部門やカンパニーに属する調達部門や調達担当者が日々サプライヤーと交渉している

ところがコンサル会社が扱うようなテーマとしては古く、2005年くらいまでに多くの会社がやり始め、現在では高いノウハウが蓄積され継続的に自走している状態と言えるだろう

調達のメインテーマとしては古い

※調達部門が製品の研究開発の段階から研究開発部門や生産部門と連携し、直接材のコストを開発段階から下げるといった取り組みは開発購買と呼ばれ、ここまで実施している企業はそこまでないため、今でもしばしば調達改革のテーマとして取り上げられることはある。しかし、会社のコスト削減活動を全体として見た場合には時代のメインテーマとは言えないだろう

~2010年あたり:間接材コスト削減

直接材に続いて、オフィスのコピー機や通信費といった、間接材のコスト削減ブームが来る

間接材コスト削減の特徴は、効果がすぐに出て、意外に大きいという点だろう

明確なベンチマークがある領域でもあり、単価とノウハウを知っていればコストを下げることができる領域ともいえる

直接材と違い、商品やサービスの汎用性が高いため、ほとんど同種のサービスを提供できるサプライヤーが多数いるため、彼らを競わせることでコストが下がる

このあたりから、間接材コスト削減に特化したサービスを提供する会社が出現し始める

今でも彼らが活躍する部分もあるが、メイン顧客は大企業から中小企業に移っている

基本的には、一度ノウハウを手に入れてしまえば自走できる領域なので、間接材に特化した”自称コンサル会社”の息はそれほど長くないと個人的には思う。交渉代行のような実行支援の手法や割高な手数料体系も世の中のニーズがどこまで続くかは未知数だ

~現在:グローバルの可視化と統制、業務省力化

今大手企業が取り組んでいるキーワードは、グローバル・コンプラ・省力化といった領域だろう

oracleのEBSやSAPのS4 HANAといったERPを活用してグローバルでの購買状況を可視化・統制することや、

調達購買部門の定型業務などのノンコア部分をBPO化して、人員を付加価値の高い購買戦略策定やモニタリングといった充て、自部門の効率化を図るといった動き、

BPO先でRPAを駆使して更なる業務省力化を実現するなど、ITの進化を活用して、調達の高度化を図るのが大きなトレンドだ

いずれも実現するとコスト削減につながる

最も、日本企業の場合、個々の部門が業務側にシステムを寄せてきた経緯もあり、ここにきて調達プロセスと経理プロセスの整合性が問題になったりもしている

大企業をもってしても、ノウハウ・人員の関係から自社単独で対応することは難しいので、多くの場合はコンサル会社やシステム会社と協力体制を築き調達の高度化を目指している

調達コスト削減の歴史は、ざっとこんな感じだ